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2025年10月開始!タイの労働者福祉基金制度の実務対応Q&A – Part.1

タイの労働者福祉基金制度の実務対応 Q&A

タイは2025年10月1日より労働者保護法 B.E.2541(1998年)に定められた労働者福祉基金(Employee Welfare Fund)が導入されます。この労働者福祉基金は、従業員が退職、定年退職、または死亡した場合に積立金を確実に受け取れるようにするために設立された制度です。

 この労働者福祉基金について、お問い合わせが多かった内容をQ&A形式でまとめます。

Q:労働者福祉基金に関する労働者保護法は1998年に制定されましたが、基金への対応は

不要でした。なぜ2025年に対応しなければいけなくなったのでしょうか?

A:労働者保護法第163条(労働者福祉基金)に定められている内容には、積立金や拠出金に関する国王勅令がなかったからです。

『労働者保護法第163条(労働者福祉基金)

第13章における労働者福祉基金についての規定に基づき労働者福祉基金とするための積立金・積増金の徴収は、勅令が発布されたとき開始する』

 コロナ禍により、工場閉鎖が増加し、解雇された従業員は退職金未払い問題に直面しました。この問題の解決策の一つとして、2024年11月15日に労働者福祉基金の積立金および拠出金の徴収開始時期(2025年10月1日より)を定める勅令が公布されました。

Q:当社の従業員数はバンコク支店に5名、チョンブリー支店に8名、各支店の従業員数は10名未満ですが、会社は労働者福祉基金に加入しなければならないでしょうか?

A:従業員数の数え方は1社に対する合計数です。この場合、バンコク支店5名+チョンブリー支店8名、全従業員は13名以上で、規定の10名を超えるため労働者福祉基金を加入しなければなりません。

Q:当社の従業員数は5名ですが、労働者福祉基金加入の対応または届出書は必要ですか?

A:特に届出書の提出やご対応は不要です。

Q:現在、従業員数は11名のため、労働者福祉基金の登録や毎月の拠出を計画しています。しかし、翌年に従業員2名が定年退職するため、従業員は9名まで減少します。この場合、会社は労働者福祉基金を退会しても良いでしょうか?

A:労働者福祉基金を加入した後に、従業員が10名を下回ったとしても、現行法では、引き続き福祉基金を拠出する必要があります。

Q:CEOやMDのタイ人・外国籍の取締役は労働者福祉基金に加入できますか?

A:本制度の加入者はタイ人・外国籍の方を問わず、どなたでも加入できます。

取締役については、従業員に該当するか雇用主に該当するか判断する必要があります。

①取締役の労働条件が就業規則の適用範囲外の場合、雇用主とみなされるため加入不可。

②取締役の労働条件が就業規則の適用範囲内の場合、従業員とみなされるため加入可。

Q:労働者福祉基金加入の対象従業員は月給者のみですか? 

A:労働契約の締結があり、就業規則の効力のある日給者、月給者、パートタイム、短期型契約労働者、定年退職後の継続雇用者、派遣社員、一部のフリーランス等が対象です。

但し、タイ教育省の下の訓練生、実習生や拘束時間の無い相談役、顧問等は対象外です。

Q:会社が既に確定拠出年金(Provident Fund)に加入している場合、労働者福祉基金に加入する必要はありますか?

A:会社が確定拠出年金に加入している場合、労働者福祉基金に加入する必要はありません。但し、新入社員や試用期間の従業員で確定拠出年金に加入資格のない者に関して、労働者福祉基金に加入する必要があります。