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2025年10月開始!タイの労働者福祉基金制度の実務対応Q&A – Part.2
2025年10月開始!タイの労働者福祉基金制度の実務対応Q&A - Part.2
タイは2025年10月1日より労働者保護法 B.E.2541(1998年)に定められた労働者福祉基金(Employee Welfare Fund)が導入されます。この労働者福祉基金は、従業員が退職、定年退職、または死亡した場合に積立金を確実に受け取れるようにするために設立された制度です。
この労働者福祉基金について、お問い合わせが多かった内容をQ&A形式でまとめます。
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Q:試用期間中の従業員を労働者福祉基金に加入させた後、当該従業員が試用期間を終了し、確定拠出年金加入に変更した場合、労働者福祉基金を退会することはできますか?
A:労働者福祉基金の加入者となった従業員が脱退できるのは、従業員本人の退職または死亡の場合のみです。従って、現行法では、従業員本人が福祉基金から退会することはできません。この場合、労働者福祉基金への拠出を停止する届出書を提出してください。
注意点として、労働者福祉基金の返還は、従業員本人が退職または死亡時になります。
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Q:会社の予算計画において、労働者福祉基金の拠出金は賃金総額から計算しなければならないのでしょうか?
また、ボーナスも拠出金算定の基礎として計算に含めなければならないのでしょうか?
A:1998年労働保護法第5条の賃金の定義に基づく「賃金」とみなされる金額、例えば、基本給、役職手当、語学手当、固定交通費、固定ガソリン代、固定通信費等を基礎とし、拠出金を算出します。
『労働保護法第5条(語句定義)
賃金とは 雇用契約に基づき、時間、日、週、月 あるいはその他の期間において、その労働の対価として支払われる、使用者及び労働者が同意した金銭を意味する。あるいは、 労働者が勤務日の平常の勤務時間において達成した成果の計算に基づき支払われる金銭 またはこの法令に従い 労働者は受け取る権利のある休日・欠勤日に対して 使用者から支払われる金銭を意味する。』
一方、賞与や残業手当、休日出勤手当、福利厚生または出勤日に応じて支給する手当(食事手当、交通費、ガソリン代)、成果に関する手当(歩合給、達成手当、コミッション料)、従業員のモチベーション向上や業績向上を目的とする手当(インセンティブ、皆勤手当)等は基礎計算の対象外です。
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Q:労働者福祉基金の拠出金には、社会保険制度のように上限が設定されていますか?
A:上限の設定はありません。
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Q:会社が負担する労働者福祉基金の拠出金はどのように計算されますか?
A:例えば、従業員の賃金(拠出金算定の基礎に該当する賃金)は50,000バーツとします。
2025年10月~2030年9月、会社負担額は月額50,000×0.25%=125バーツ
2030年10月以降、会社負担額は月額50,000×0.50%=250バーツ
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Q:当社は既に確定拠出年金に加入しています。同一従業員が確定拠出年金と労働者福祉基金の両方を加入することはできますか?
A:労働者福祉基金への加入が義務付けられていない企業(例:既に確定拠出年金加入)の場合、または従業員が雇用主の同意を得て労働者福祉基金への加入を希望する場合は、労働者保護法第13章従業員福祉基金、第130条第4項により、従業員は労働者福祉基金への加入を申請することができます。
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Q:当社は確定拠出年金の加入を検討しています。会社が負担する拠出金の掛け率は従業員と同率でなければならないでしょうか?
A:不同率でも良いです。
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Q:当社は既に確定拠出年金に加入しています。拠出金の掛け率は10%を設定しましたが、会社の売上減少のため、掛け率10%を5%に変更できますか?
A:従業員の同意が必要です。
一方、掛け率5%から10%に変更する場合は、従業員にとってベネフィットになるため、同意は不要です。
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