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日本とタイで異なる退職給付会計 ― 引当義務と計算方法のポイント
日本とタイで異なる退職給付会計 ― 引当義務と計算方法のポイント
タイと日本の退職給付会計の違い
日本の本社がタイの財務状況を管理する場合、決算時期にタイの退職給付に関する質問が寄せられます。今回はタイの退職給付会計について、解説したいと思います。
退職給付制度
タイでは労働者保護法により条件を満たした社員が会社都合(定年退職含む)で退職する場合、解雇補償金の支払が義務付けられています。これに伴い、決算時にタイ会計基準に定められている退職給付の会計処理に従い、会社が負っている退職給付債務(貸借対照表の負債)の開示が必要となります。
日本では退職給付会計は企業会計基準第26条で定められており、利害関係者への適切な財務状況の開示のため、当該債務の開示が求められています。また、日本の場合は退職金規定のない会社については引当の必要はありません。
しかし、タイでは労働者保護法で退職金規定が無い会社に対しても解雇補償金を支払う必要がありますので、その退職給付引当が義務付けられています。
計算基準
タイでは上場企業につきましては将来支払われる退職金を昇給率、離職率等を考慮した勤務費用及び利息費用等に基づいた数理計算(統計学及び確率論等を用い将来の数値を予測する計算方法)を用いて現在の価値(注1)に直した金額から既に退職金として積み立てているプロビデントファンドを除いた金額を退職給付債務として計上する複雑な計算が必要です。
(注1)利息等時間が経つにつれて将来価値が増加するものについて、満期時の金額から複利計算を用いて割り引いた金額で会計上では割引現在価値という
(例)利息のみを考慮した場合:年率10%で2年後に100の退職金の支払が生じる予定

① 1年後の価値:100÷110%=90.9090….
② 現在の価値 :①÷110%÷110%=82.6446….
③ 1年後に発生する利息費用 :①-②=8.2644….
一方、非上場企業につきましては簡便的な方法が認められており多くの中小企業は将来支払われる解雇補償金を基準とし離職率、勤続年数等を用い現在の価値に直す計算方法によって社内で計算し監査人の監査を受ける方法が一般的です。
ご参考まで、日本の場合は大企業につきましては、一般的に、将来支払われる退職金を上述の勤務費用及び利息費用等から数理計算を用いて現在の価値(注1)に直した金額から既に退職金として積み立てている確定拠出金を除いた金額を退職給付債務として計上します。また、従業員300人以下の中小企業につきましては期末時点で全従業員が退職した場合に支払うべき退職金を退職給付引当金として計上する方法も認められています。
タイと日本の計算基準の違いは主に中小企業が用いる簡便法のやり方で、タイでは労働者保護法に基づいた解雇補償金の金額を会社が合理的と定めた基準で現在の価値に直した金額を退職給付引当金として計上するのに対して日本では、期末時点で発生した退職金の金額をそのまま計上し現在の価値(注1)に直す計算は用いない所にあります。
タイの退職給付債務計算例
タイでは非上場企業の場合、監査法人から提供される次の計算式が使われています
事例: 決算時点の従業員給与額( 5万THB )×退職時の支給月数(10ケ月)
×在職率(60%)×決算時点の勤続年数( 6年)÷定年退職時迄の年数(4年)
=450,000THB
まとめ
タイの場合、毎年、退職給付引当金を計算し、貸借対照表の負債計上する必要があります。以上、簡単ではありますが、退職給付会計についての説明となります。詳細は、会計事務所にお問い合わせください。
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